トッツィトイの世界最初のミニカー、フォードT型オープンツアラーについての調査

先報で、世界最初のミニカーと言われるトッツィトイ(TOOTSIETOY)のフォードT型(FORD MODEL T)を入手したことを報告した。[https://swada.at.webry.info/202001/article_3.html

 Fig.1 今回入手した個体
Ford T-2.jpg
Ford T-3.jpg

このモデルは100年以上前のものと言われているが、判らないことも多いため入手できる範囲で情報をまとめてみた。

1. トッツィトイのフォードT型について
[名称表示について]
このフォードT型オープンツアラー(Ford Model T Open Tourer)をモデルとしたミニカー、当時の1921年当時の“ダウスト・ブラザーズ(後のTOOTSIETOY)”カタログ(Fig.2)では、「FORD MODEL T」とは表記されておらず、「有名なフリバーの完全な複製」(a perfect reproduction of the well-known Flivver)(Flivverとは安い自動車という意味でT型の俗称として用いられていた)と書かれている。実車の縮小としてのミニカーの概念が無い時代に元となったフォードに配慮した対応と推測される。[1][2][3]

 Fig.2 1921年頃のカタログ[3]
20191021_0d653e.jpg

また、製造したダウスト(DOWST)がトッツィトイの商標を登録したのは1920年代と言われ、このモデルの背面には製造元、商標、車名等の表示は全く無い。

[生産時期について]
フォードT型の実車は世界で最初に流れ作業による大量生産で低価格を実現した自動車として知られており、1908年~1927年の間、生産販売されたとされている。
トッツィトイのフォードT型の発売年については、1914年(大正3年)と1915年(大正4年)の二つの説があり、資料によって異なっている。
「Ford Club of America」(実車の愛好家クラブ)によるフォードT型のモデルチェンジの情報と比較すると、トッツィトイのこのモデルは1915年以降の特徴を表しているとしている。[1]
詳細な変更時期は不明であるが、1914年~1915年に製造販売が開始されたことは間違いなさそうである。
いつまで販売されたか、については明確な情報を得ることができなかったが、1921年のカタログにもこのモデルが載っているため、それ以降まで継続して生産されたと思われる。[1][3]

[生産台数について]
実車のT型は約20年にわたり、1500万台以上が製造されたとされている。
参考文献[4]にはこのミニカーが1500万台作られたとの記載があるが、これは実車台数の間違いだと思われる。しかし大ヒットして沢山売れたことは間違いない。

2. 今回入手した個体は、本物か、改造や修復はされていないか
[ボディの形状や塗色]
1921年当時のカタログに同モデルの特徴として、「異なったいくつかの色のエナメルで塗装され、ウインドウシールドはブロンズ色、ステアリングホイールは黒、回転可能なホイールはブロンズ色」とある。[3]
以下、当時のものと思われる個体の写真を5点示す。

 Fig.3 緑色の個体① ホイールはスポーク型で黒色[3]
20191021_9d08c0.jpg

 Fig.4 別の緑色の個体② ホイールはスポーク型で黒色[1]
RA-016.jpg

 Fig.5 赤色の個体③ ホイールはスポーク型でブロンズ色[1]
ModelTFord-red.jpg

 Fig.6 灰色の個体④ ホイールはディッシュ型でブロンズ色[1]
TootsieModelT-1.jpg

 Fig.7 トヨタ博物館に収蔵されている、黒色の個体⑤ ホイールはスポーク型で黒色[5]
Ford T-7.jpg

以下、文献に示された写真を2点示す。

 Fig.8 本からの複写、個体⑥ ホイールはディッシュ型[2]
TOOTSIETOYの本、9ページ.jpg

 Fig.9 本からの複写、個体⑦ 写真が小さく不鮮明だが、ホイールはディッシュ型。[4]
(参考文献[4]にはトッツィトイのT型フォードの写真が3枚(P78、P82、P98)掲載されている。そのうちオープンツアラーの写真は82ページのみで、他の2枚は明らかに形が異なっており、1950年代に作られた別金型と思われる。)
世界のミニカー、82ページ.jpg

[ホイール]
参考資料[1]によると、初期型はスポーク型でその後はディッシュ型になっている。変更された明確な時期に関する資料は見つけらなかった。
前出の1921年当時のカタログ[3]のイラストはスポーク型が描かれているので、1920年代になってから変更されたと推定される。

[ホイール軸のカシメ]
今回入手したモデルの前後車軸の左側のカシメが軸の半径方向に平らに潰してカシメてある。修復や交換した形跡かと思ったが、Fig.3の緑色の個体も同様にカシメてあることが判明し、新品時からこの様なカシメだったと思われる。

 Fig.9 今回入手したモデルの車軸端のカシメ状態
車軸端比較.jpg

[パッケージと添付工具]
今回入手したモデルには箱と工具一式(OUTFIT)が付いている。これらに関する資料や写真を見つけることは出来なかった。今後の調査課題としたい。

 Fig.10 箱と工具一式
Ford T-6.jpg

工具一式の内、ヤスリのみ色が異なっている。これだけ再生品の可能性もある。

[考察結果まとめ]
手に入る範囲で資料を調べ、比較を行った結果、以下の様に推測した。
1.世界最初のミニカーと言われるダウスト(DOWST)のフォードT型オープンツアラーは、1915年頃に発売され、1920年代まで販売が続けられた。
2.ボディ色は、赤色、緑色、灰色、黒色が確認された。
3.ホイールは初期には9本スポークのスポーク型で1920年代になってからディッシュ型に変更された。スポーク型のホイールの色はブロンズ色と黒色がある。
4.ホイールの車軸のカシメは少なくとも初期には半径方向に平らに潰してある。
5.箱や付属の工具については、確認できる資料は見つからなかった。

これらの情報から、今回入手した個体は1915年に新発売され、数年以内に作られた初期型の本物で、塗装もオリジナル、目に付く補修もされていないと考えられる。

【参考文献】
[1].「A History of Pre-War Automotive Tootsietoys Part 1 - Historical background, the 1911 Limousine and the Model T Fords」Clint Seeley edited by Robert Newson,
http://www.tootsietoys.info/Tootsietoys-1.html
[2].「TOOTSIE TOYS World’s First Diecast Models」James Wieland, Edward Force, Motorbook International, 1980
[3].ミニオート倶楽部 販売ウエブサイト、2019/10/21
http://palette.ocnk.net/product/1270
[4].「世界のミニカー」中島登著、株式会社保育社、1967/6/1
[5].「トヨタ博物館に「クルマ文化資料室」がオープン!ミニカーやカーマスコットなど約4,000点の資料を展示!入館料が半額の期間も!!」電撃ホビーWEB, 2019/3/21[https://hobby.dengeki.com/news/728598/

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